『第三世界の長井』 Eアンカー (1)
165の設定
ここではEアンカーとして「設定XX」という形で表記された設定の内容についてまとめておく。
次にあげる表は現時点で確認できたEアンカー全てと、その発現結果である。
設定には数字上「空番」が存在するので、それらは灰地で記した。設定と結果の因果関係がはっきりしていないものは黄色地、設定の発現自体が怪しいものは赤地で示してある。
設定1 | |
設定2 | |
設定3 主人公は平凡な高校生 (担当編集者くん)[1-61] | 長井は高校生として級友達と自然に会話している[1-37] |
設定4 主人公は正義を愛し平和を慈しむ選ばれた勇者 (二号くん)[1-61] | 博士が長井を「正義を愛するわいの長井」「平和を夢見るわいの長井」と呼び、「君こそは選ばれた伝説の何かだ」と教える[1-21および1-24] |
設定5 主人公はどんなジャンルだろうとこなせる万能のスーパースター (匿名)[2-66] | 発現している様子はないが、うるるは長井を「スーパースター」にしようとしている[2-86] 【無効または発現中?】 |
設定6 主人公はクール (三号ちゃん)[1-68] | 長井が「フン…(クール)」とうそぶく[1-69] |
設定7 | |
設定8 博士には娘がいる (匿名)[2-106] | 長井によればうるるは博士の娘らしい[2-77] |
設定9 | |
設定10 主人公の両肩には世界の命 [後半不明。ルビは「いのち」] (-)[1-4] | 【不明】 |
設定11 | |
設定12 主人公のビジュアル [画像] (堂島くん)[1-68] | そのまま長井の姿になった[1-12] |
設定13 | |
設定14 | |
設定15 | |
設定16 | |
設定17 | |
設定18 | |
設定19 主人公は博士の命令でたった一人で世界を守らされる (匿名)[1-61] | 長井は博士にたびたび世界を守るための戦いを強要される[1-17]。また、博士の定義によれば孤独で賛同者のいない事がヒーローの重要な要素であるらしい[2-87] |
設定20 | |
設定21 | |
設定22 | |
設定23 主人公は博士と仲良し (一号くん)[1-61] | 長井は博士を「大好キナ博士」と呼び[1-16]、博士は長井を「わいの長井」と呼ぶ[1-19] |
設定24 | |
設定25 博士は防衛組織「ドングリーズ」の長官 (二号くん)[1-61] | 博士が「仲良しグループ秘密防衛組織ドングリーズ」を創立したという[1-16および1-20] |
設定26 | |
設定27 | |
設定28 主人公は西郷隆盛を敬愛している (担当編集者くん)[1-61] | 長井が感動を捧げる対象として「死んだ父上」「シンゴー」と同列に「西郷先生」を挙げる[1-108] |
設定29 | |
設定30 | |
設定31 | |
設定32 主人公はアメリカ人でしたって事で (おてもとくん)[1-68] | 注釈として、また長井自身の発言として、長井はアメリカ人とされる[1-13および1-71] |
設定33 | |
設定34 主人公の好きな歌は「サンタ・ルチア」 (四号くん)[1-61] | 長井が熱唱する[1-70] |
設定35 | |
設定36 | |
設定37 博士はなんだか死にかけている (匿名希望)[1-62] | 博士は突如吐血し、謎の煙を発した。以後もしばしば吐血する[1-78] |
設定38 | |
設定39 博士は長井にやる気を出させる為に毎晩長井を鞭打っている (ドSちゃん)[2-66] | 具体的な描写はない。博士に連れて行かれる長井が「助けてくれ、こいつは本当に殺す男だ」など危険を訴えたことはあるが……?[1-20] 【確認不足】 |
設定40 | |
設定41 | |
設定42 | |
設定43 | |
設定44 | |
設定45 | |
設定46 | |
設定47 | |
設定48 | |
設定49 主人公はとにかく殺意を否定する (二号くん)[1-68] | 帽子の少年に対して(何らかの)殺意を否定した[1-14] |
設定50 | |
設定51 博士は水晶玉で長井の行動を把握している (五反田の母ちゃん)[1-124] | 水晶玉によるものかは不明だが、博士は遠隔地から的確に「気にするな」と通信を送ってきた[1-128]。一方で博士はクッ付カセル星人との戦闘状況を把握していなかった[2-147] 【確認不足】 |
設定52 | |
設定53 | |
設定54 | |
設定55 博士は頭にツノが生えてる (五号くん)[1-68] | 頭にツノが生えている[1-16および1-18] |
設定56 | |
設定57 | |
設定58 | |
設定59 主人公の趣味は世界のコイン集め (荒井智之くん)[1-62] | 長井は手持ちの世界のコインのダブリを気にしている[1-93] |
設定60 主人公の通り名は『音速の長井』 (四号くん)[1-88] | ラーメン星人は長井を「音速の長井」と呼んだ[2-44] |
設定61 | |
設定62 | |
設定63 | |
設定64 博士の操作方法 Aボタン(遠距離)かいわ(近距離)ビクトリークラッシャーパンチ Bボタン(遠距離)ビクトリーパンチ(中距離)クラッシャーパンチ (近距離)ビクトリークラッシャー殺人 (モリタイシくん)[1-62] | 近距離でも会話が成り立っており、「かいわ」以外の技が使われた様子はない。またボタンの存在も不明 【無効】 |
設定65 | |
設定66 | |
設定67 | |
設定68 | |
設定69 | |
設定70 博士の一人称は「わい」 (I・Nくん)[1-68] | 博士の一人称は常に「わい」である[1-19] |
設定71 | |
設定72 | |
設定73 | |
設定74 | |
設定75 主人公の武器は少し大きめの石 武器名「リトルラージストーン」 (安井くん)[1-88] | 博士が用意した専用武器は少し大きめの石[1-27]。この石は衝撃星人戦時、長井に「リトルラージストーン」と呼ばれた[2-130] |
設定76 | |
設定77 主人公の父親はディオに間接的に殺害された (七号くん)[1-62] | 長井によれば父親は「DIOに間接的に殺害された」という[1-70] |
設定78 | |
設定79 | |
設定80 | |
設定81 | |
設定82 主人公の趣味は珍しいケシゴム集め (アントンシクくん)[1-62] | 長井は珍しい消しゴムを手に入れた喜びを噛み締めた[1-69] |
設定83 主人公のライバル達は世界各地の山脈出身 (とりのちゃん)[1-88] | ライバルに言及はないが、長井は自身を「ロッキー山脈出身」と称している[1-71] 【未発現】 |
設定84 博士は三機のゲットマシンに分離できる (福井ゲッターあしびくん)[1-62] | 博士が無理に三機のゲットマシンに分離しようとした(未遂か?)[1-78] 【確認不足】 |
設定85 主人公はくさい分泌液を全身から出して敵を追い払える (二号くん)[1-62] | 長井に自覚はなく[2-91]、実際に出そうとしても出せなかった[2-110] 【無効】 |
設定86 | |
設定87 | |
設定88 博士ってたまに落雷しそうですね (匿名希望ちゃん)[1-68] | 博士がツノに落雷を受けている[1-80] |
設定89 | |
設定90 | |
設定91 | |
設定92 | |
設定93 | |
設定94 長井は関羽と張飛という義理の弟がいる (福井兀突骨あしびくん)[1-68] | 長井が弟分と称する友人2名は通称「関羽」と「張飛」で、少なくとも関羽は長井を兄と慕っている。張飛の本名は新井[1-73] |
設定95 | |
設定96 | |
設定97 | |
設定98 長井が失敗すると「KOEI」と出る (ダ・ガマくん)[1-88] | 長井が状況を理解できなかった次のコマに「KOEI」と表示された[1-127] |
設定99 | |
設定100 | |
設定101 | |
設定102 | |
設定103 主人公は死んだ父親に励まされる (担当編集者くん)[1-88] | 羽田空港で撮られた写真らしき父親の姿が長井を励ました[1-142] |
設定104 | |
設定105 | |
設定106 | |
設定107 | |
設定108 | |
設定109 | |
設定110 主人公は良質のたんぱく質に目がない (モリタイシくん)[1-88] | 【未発現】 |
設定111 | |
設定112 主人公は物事を『昭和極道史』で例えてもらいたがる (早川くん)[2-31] | 長井は博士に状況を『昭和極道史』で例えてもらった[2-35] |
設定113 博士が絶体絶命の危機には次元がヘリから縄梯子を下ろしてくれる (もみあげ三世くん)[1-88] | 【未発現】 |
設定114 博士は28歳まで防衛庁技術研究部第6研究所にいた (担当編集者くん)[1-124] | 博士は自称「職歴ナシ」[1-20] 【無効】 |
設定115 | |
設定116 長井の父親はコンビニの豪華なデザートが好き (ワタナベちゃん)[1-124] | 長井によれば父親は「いつもコンビニの豪華なデザートを食いたがってた」という[1-119] |
設定117 主人公はスーパーヒーローに改造される (二号くん)[1-89] | 長井は博士によってスーパーヒーローに変身できるサイボーグに改造された[1-101] |
設定118 | |
設定119 | |
設定120 | |
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設定129 | |
設定130 | |
設定131 | |
設定132 | |
設定133 主人公の腕には腕時計型通信機がある (ハヤタくん)[1-124] | 博士の通信と共に突然、長井の左手首に腕時計型通信機が出現した[1-95] |
設定134 | |
設定135 | |
設定136 | |
設定137 主人公の父親の名前は「ジャックダニエル」 (日没キッドくん)[1-124] | 長井は父を「亡き父ジャック」、「亡き父ジャック・ダニエル」と呼ぶ[1-143および2-37] |
設定138 | |
設定139 | |
設定140 主人公は急にティッシュ箱の構造にムチャクチャ興味を持って我を忘れてその構造の解明に取り組む(解説付きで) (伊藤くん)[1-124] | 長井(変身後)は突然現われたティッシュ箱に異様な興味を抱いた[2-5] |
設定141 | |
設定142 主人公が好きな歌は「ロンリーチャップリン」 (マサシくん)[1-124] | 長井が口ずさんだ(歌詞は間違えていた)[2-31] |
設定143 | |
設定144 ラーメン星人、必殺技は「実写版デビルマン」 (なすびくん)[2-66] | ラーメン星人はラーメンを操る技「実写版デビルマン」を使う[2-49] |
設定145 ヒーローの必殺技はストロング壁ハメ (虎仙人くん)[1-124] | 長井は「ストロング壁ハメ」という技を持つことを否定している[1-141] 【無効】 |
設定146 | |
設定147 | |
設定148 | |
設定149 | |
設定150 ヒーローはバトル終了後にみんなにメッセージをする (担当編集者くん)[2-31および2-106] | 爆破星人戦後、長井(変身後)は唐突にカメラ目線になり「この俺達の戦いはまだ終わったばかりだ」等言い出した[1-119] |
設定151 主人公は立派な大人になりたい (匿名)[2-66] | 窮地に長井は「イツカきっと立派な大人になる。」と叫んだ[2-61] |
設定152 スーパーヒーローは顔が濡れると力が出ねえ (ゴハンくん)[2-31] | 【未発現】 |
設定153 主人公は緊急時に馬に乗って駆けつける (王子くん)[2-31] | 少なくとも長井の家に馬はいないようだが……?[2-31] 【未発現】 |
設定154 | |
設定155 | |
設定156 | |
設定157 長井はよく車にはねられる (ジコチューくん)[2-31] | 【未発現】 |
設定158 ヒーローは敵を殴っていると妙にヘビーな事を口走り始める (二号くん)[2-106] | 【未発現】 |
設定159 長井には昆虫達が無限のやる気を与えてくれる (森茶くん)[2-106] | 【未発現】 |
設定160 主人公は以前泣いて馬謖をメッタ斬りにした (二号くん)[2-66] | 長井の回想によれば少し前に泣きながら馬謖をメッタ斬りにしていたらしい[2-73] |
設定161 博士は道の追求の為北海道でクマと戦う (二号くん)[2-106] | 【未発現】 |
設定162 | |
設定163 | |
設定164 | |
設定165 火山噴火星人、必殺技は「わしはゆたかな大地になる」 (よしたけくん)[2-106] | 火山噴火星人のかけ声は「わしはゆたかな大地になる」[2-93] |
先にいくつかの注意点を挙げておきたい。
現時点で確認できる設定の最大数は設定165[2-106]だが、これ以上があるかもしれないし、これが最後かもしれない。欠番がある可能性も見逃せないだろう。
設定10は例外的に、コマの中にぶつ切りの形で記されており[1-4]後半の内容が不明である。「主人公の両肩には世界の
」という形で途切れているが、これは「主人公の両肩には世界の命運が賭かっている」等と書こうとしてルビを誤ったのだろうか? そもそもルビの存在がEアンカーの内容に含まれるのか/単純に漫画表現上の問題でしかないのかも含め、情報の少ない中の断定は避けておきたい。
またナンバーの与えられた「設定XX」という形ではないが、Eアンカーの発現らしき事態も散見される。たとえば音那は「博士は実際にイカ占いの世界的権威だ。 /…/ そんなものが世界規模であるなんて思えないはずだ。 / でもそういう事になったんだ。 /…/ そういう設定が創られたから。」
[1-29,30]と「設定」の存在を認めているが、Eアンカー自体は読者にはまだ明らかにされていない。また博士は長井の変身後の名前を「ぬくもり」と呼んだが、帽子の少年はこの頓狂な命名を聞いて「…アンカー?」
と影響を疑っている[2-130]。
Eアンカーは絶対なのか?
現時点で最小165とみられる設定のうち、明らかになっているものは54(うち1つは不完全な形)。まだ111以上の膨大な設定が(大半はくだらないものだとしても)残されていることになる。もっともその全てが必ず明かされるという保証はないのだが。
物語上では矢継ぎ早に実現しているように見えるアンカーだが、36という数は意外に少ないと感じられる。もっとも残り13の設定は読者の目に触れない場面で既に実現しているのかもしれない。Eアンカーについて(読者以上には)詳しいはずの帽子の少年は、
「お前じゃねえと倒せねえってアンカーが…」[2-89]
「そういうアンカーが打たれてんだよ。」[2-109]と、アンカーの実現を高く信頼している様子を見せている。
そこで、実現していない(失敗している)ように見える4件について検討してみたい。
設定64 博士の操作方法 Aボタン(遠距離)かいわ(近距離)ビクトリークラッシャーパンチ Bボタン(遠距離)ビクトリーパンチ(中距離)クラッシャーパンチ (近距離)ビクトリークラッシャー殺人 (モリタイシくん)[1-62] | 近距離でも会話が成り立っており、「かいわ」以外の技が使われた様子はない。またボタンの存在も不明 【無効】 |
設定85 主人公はくさい分泌液を全身から出して敵を追い払える (二号くん)[1-62] | 長井に自覚はなく、実際に出そうとしても出せなかった[2-91および2-110] 【無効】 |
設定114 博士は28歳まで防衛庁技術研究部第6研究所にいた (担当編集者くん)[1-124] | 博士は自称「職歴ナシ」。[1-20] 【無効】 |
設定145 ヒーローの必殺技はストロング壁ハメ (虎仙人くん)[1-124] | 長井は「ストロング壁ハメ」という技を持つことを否定している[1-141] 【無効】 |
このうち設定114はと設定145に関しては本人が嘘をついている、あるいは本人も知らない、忘れていると考えることもできる。
たとえば「設定145 ヒーローの必殺技はストロング壁ハメ
」[1-124]では、帽子の少年に「お前にはまだストロング壁ハメとかって必殺技があるんじゃねえのか?」
と聞かれた長井が「なんじゃそらぁ。」
と一蹴している[1-141]が、それはあくまで長井の言動でしかなく「ストロング壁ハメ」の存在しない証拠にはならない(長井がヒーローに改造された事に無自覚だった例を思い出されたい)。
「設定114 博士は28歳まで防衛庁技術研究部第6研究所にいた
」[1-124]も同様である。博士はあの通りミステリアスな人物で、職歴を偽っているのかもしれない(組織に所属せず、という意識は孤高を尊ぶドングリ思想にも合致するだろう)。帽子の少年が「だけど実際博士ってマジですげえ奴だよな…」
と素直に感心する[2-69]ほど高い技術力を持っているのも確かで、これが件の「防衛庁技術研究部第6研究所」に根ざす技術とすれば辻褄も合う。
「設定64 博士の操作方法
」については、普段の博士の行動と「ボタン」による行動が独立している──つまり、今のところ博士がボタンで「操作」された場面がないだけ、とすれば一応の説明はつくだろう。
そこで最大の疑問は、「設定85 くさい分泌液を全身から出して敵を追い払える
」が明確に否定されていることだ。長井自身かなり乗り気で分泌液を出そうと努力したものの結果は「駄目デシタ。」
[2-110]というものだった。しかし長井はこの時「ひょっとして便の事デスカ?」
[2-110]と別の可能性を呈している。「分泌液」と「便」は厳密には異なるはずだが、そもそもEアンカーの文章はかなりフランクなもので、ひとつの可能性としてありえるとは言えるだろう。事実帽子の少年も「ち…違うと思うけど… / でもわかんない、それ出して敵が引きあげたらそうなのかも…」
[2-111]とある程度の肯定を示している。この件に関して確認は行なわれなかったが、本当に分泌液=便だったとしてもおかしくはない。もう一つの可能性として、分泌液は長井の意志と関係なく分泌されるものだというケースが考えられる。この直後の戦闘で長井は血みどろになるが[2-133]、この血のように外部の要因によって分泌液が出ることも十分ありえるだろう(人間としてはともかくだが。そもそも分泌液が何なのかがまず分からないのだ)。
こうした仮定の上では、Eアンカーの絶対性は今のところ維持されている。
また別の解釈として、設定が実現するまでにはタイムラグがあり現時点では「上書き」が起こっていない(将来的にこの設定に書き換わる)だけだとも考えうる。「それを言えば何でも通ってしまう」という点で考察の余地が少ないが説得力のある見方ではあるだろう。
いずれにせよこの設定85の問題は(設定145と違って)くり返し、かつ何ページも使ってその存在が検証されており、それらが無意味な演出だとは考えにくい。いずれ何らかの進展が見られることだろう。
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- 注記のない限り引用はすべて『第三世界の長井』(ながいけん著)より